蟹漁師インタビュー|第1章「継いだのは借金?資源管理で起死回生!」

福井県大喜丸のかに漁師山下さん

 私が福井県立大学の入試のために福井県に前入りした日、越前港で漁師狩りをしていたら出会ってしまいました。激アツかに漁師さん!話せば話すほど、本気でかにと地域に向き合ってきたんだな。と思わせてくれる経験やビジョンの話が面白すぎて、そのまま一緒に飲みにいくことになりました。

 巷では有名な山下富士夫さんをもっとたくさんの人に知ってもらいたくて、インタビューしてきましたのでぜひ最後まで読んでください✨

かーりぃ

※越前町にははめっちゃ「山下さん」多いので、みんな「富士夫さん」って呼んでます。

目次

自己紹介をお願いします!

 名古屋から来て、越前町でベニズワイガニ漁をしている山下富士夫です。27歳の時に結婚を機に越前町に移り住み、現在はベニズワイガニ漁の船頭をしています。

 若い頃はめっちゃパチンカスで、名古屋のガソリンスタンドで勤めていました。小学生のころから釣りが好きでした。漁師になって釣りやめました(笑)

かーりぃ

釣りやめたんですか?

 なんでやめたんだろう。忙しくなったからですかね。暇なら行くと思うんですけど、わざわざ寒い中釣りしたくなくなりましたね。

-どんな漁をされているんですか?

 日帰りでかご漁をしています。片道4時間くらいかかる漁場まで船を走らせて、合計で16時間くらい沖に出ています。福井県の越前漁港に所属していて1隻で操業しています。

 ベニズワイガニは深海1000m付近に生息しているので立ち綱は1700mもあるんですよ。かごの間隔は50mで、餌は冷凍のさばを使っています。沖で流水解凍して仕掛ける時に切れ目を入れることによって、かにをより引き寄せられるように工夫しています。

-ベニズワイガニとズワイガニって違うんですか?

  違うんですよ。ズワイガニは水深200m~400mあたりに生息しているので、ベニズワイガニに比べてずっと浅いです。

 あと、もちろん味も違いますし、ズワイガニは1年に1回脱皮します。ベニズワイガニはまだはっきりとわかってはいませんが、今福井県の水産試験場と国立の水産研究教育機構と一緒に調査していて、現時点では2年に1回ぐらいなんじゃないかなと考えられています。またわかったら報告しますね!

-ベニズワイガニってどうやって食べるのが美味しいですか?

 しゃぶしゃぶですね!船に冷水機を増やしたので、活きたままのかにを水揚げできるようになりました。生かしたまま水揚げしているので、越前町にきてくれたら鮮度のいいかにを提供できますよ!

かーりぃ

カニの捌き方はこの前私が獲ったYouTube見てもらいましょ(笑)

 捌いたかには昆布だしの鍋にサッと湯通しして食べると絶品です!

 あと、最近は甲羅盛りにもハマってて色々アレンジ加えてるんですよ。

 かにを捌いた後、足の付け根についているエラを取り除いて塩茹でし、身をほぐしたらミソの入った甲羅の中に入れます。卵も甲羅の中に落として、お湯を張ったフライパンに入れます。卵が自分の好みの硬さになるまで蓋をして蒸したら完成です。卵の上にお好みでチーズをかけても美味しいですよ!

かーりぃ

それはめちゃくちゃ美味しそう!!!

どうして漁師になったんですか?

 僕が越前町に移住した時、福井にはベニズワイガニを獲っている船が1隻しかなく後継者もいなくて。福井県からベニズワイガニがなくなりそうだったから、使命感を感じてしまってですね。ただ、絶対に儲かる確信はありました。

-ぶっちゃけどれくらい稼げるんですか?

 去年2024年の売上額は7700万、2023年が6800万、2022年は7400万、コロナの2021年は水揚げも需要も少なく操業日数を大幅に減らしたのもあって4900万、2020年は補助金をもらったのもあって6300万でしたが、2019年は全然だったと記憶しています。

 船を継いだ時は4000万でしたし、前の船頭がやってた時は3000万とかでしたよ。長期で見るとずっと右肩上がりなんですよ。昔は単純に資源が減ってたのも大きかったと思います。

-単価も上がったんですか?

上がりましたよ!活がにを増やしたんですよ。生かしたまま水揚げすることができれば1杯あたりの単価が2倍くらいになります。自分でPRもしてますが、ちゃんと商人さんがそれに価値をつけてくれる市場あってこそだと思っています。感謝していますよ!

 2023年に水揚額が下がったのは純粋に水揚量が少なかったんですよ。2024年は沖にでた日数は少なかったですが資源が増えたのか、1かごに入っていたかにの数が増えてたくさん水揚げすることができました!

かーりぃ

専門用語になりますが
CPUE(Catch Per Unit Effort):単位努力量あたりの漁獲量
が増加したってことですね。

-資源管理をされたんですか?

 そうですね、例えばかごを沈めておく日数を長くすれば、大きいかにと一緒に餌に集まってきてしまった小さいかにが網目から出ていくことができます。だからうちでは1週間以上経ってからかごを回収するようにしています。

 あとは、かごを上げる数を160かご以内にしてます(1セット80かご)。需要があれば160かごあげますし、なければ80かごで帰ります。

 まだ未成熟で将来脱皮するかには海水に一度つけて空気を抜いて、少し体を冷やしてあげてから全て海に返します。かにの甲羅に入ってしまった空気を抜いてあげないと、冷たい海水がある水深まで沈むのに時間がかかりすぎてしまって、かにが弱ってしまうのでそういった工夫をしています。

 あと、本当にこの資源管理がうまくいっているのかモニタリングするために、1日1かご分のかにの甲羅の幅を測定しています。

 そして、1日に2杯のかににタグをつけて放流しています。タグをつけて放流することで、タグが付いたかにが再び獲れた時にどれくらいの密度で海底にかにが生息しているかがわかるんですよ。測定は船頭になってすぐにやり始めたので今年の3月でちょうど10年になります。

 このデータを使って論文とかも書いてもらってます。最近HPに掲載したのでリンクからとんでもらえれば読めますよ!ぜひ読んでみてください!

かーりぃ

大喜丸のHPはこちら

-危ない仕事だと思うんですが、それでも継ぐ覚悟ができたのはどうしてですか?

  実際3年ぐらい悩んでました。僕、5人兄弟の末っ子なんですけど、父親に相談して「死に目にも会えない仕事かもしれないけど、漁師になってもいいかな。」と話をしたんですよ。その時に「頑張ってこい。」と背中を押してもらえたからですね。

-お父さんとは結構信頼関係とか強かったんですか?

 内容はあまり覚えていないんですけど、最初は言い方が悪いとか、ちゃんとみてないくせに怒ったりとかだったと思います。アニメとか漫画とかに理解を示してくれない父親に腹が立って。お互いの気に食わないところとかを本気で言い合う喧嘩をしたんですよ。父親が60歳の時ですね、本音で大喧嘩してからお互いの意見に理解が深まって仲良くなりました。今では、父親も漫画も読むし、なんならSwitchもしてますけどね(笑)

その頃から父親に対しては一目置くようになったし、「頑張ってこい。」って言われた時はとても嬉しかったです。その一言で漁師になる決心がつきました。

かーりぃ

父親と息子の親子愛っていいですね。ちょっと感動です。

今最も力を入れている活動はなんですか??

 今一番力を入れているのは越前町の町おこしです。越前町って結構不便なんですよ、電車も通ってなくて。でも、交通機関が充実していないのはちゃんと越前町の魅力が世間に伝わっていないというか。まだそこが足りていないとおもうんですよ。

 無理やり電車やバスを通しても、魅力がないと人は来てくれませんし、公共交通機関を運営してくれる会社が苦しくなってしまうだけですから。だから、自分が今できることとして、これからもっと越前町の魅力発信をして越前町に来てくれる人を増やしたいです。

-具体的に今やっていることはありますか?

 今、県の観光と手を組んで越前町を温泉と食の町として盛り上げていこうという話があるんですけど実際あまりスピード感がなくて。

 あと、年に一回越前町役場と「越前町若者移住促進PT ココクルー」というチームでマルシェを開催して、越前町のPRをしていますね。

 他にも、ふるさと納税でベニズワイガニを扱ってもらっています。最近業者さんが僕に「ふるさと納税のかに部門で1位獲った!!」って自慢してくるんですよ。多分自慢する人間違えてるんですけど(笑)今も取り扱ってるので美味しそうだなと思ったら食べてみて欲しいです。

かーりぃ

それめっちゃすごいじゃないですか!ふるさとチョイスで出品してるんですね!

≪浜茹で≫ 越前産 紅ずわいがに × 3杯 【紅ズワイガニ カニ 蟹 姿 ボイル 冷蔵 福井県】 [e22-x003]

11,000 円

 あとは越前町に遊びに来た時には、道の駅1階にある「お食事処かねいち」、旅館の「かねとも」、あと、要確認ですが、「蟹かに亭」で食べることもできます。

 ベニズワイガニは7・8月が禁漁期間なので活気のいいベニズワイガニが食べたい方はその時期以外で来てくださいね!

-これ、「黄金がに」ってのもありますけどこれはベニズワイガニとは違うんですか?

 黄金がには、ズワイガニとベニズワイガニの合いの子です。水深がベニズワイガニよりは少し浅い800m付近にいるんです。昔は900mとかの比較的浅い海域でも操業してたのでよく黄金がにも混ざって入っていたのです。

 でも、最近硬くていいベニズワイガニを追っかけるようになったので、水深1000m付近の比較的深いところで操業することが増えたんですよ。だから、黄金がには少し入りにくくなってしまいました。今は、1000杯以上獲っても1杯とかしか混ざって入らないのでめっちゃ希少です。

 だいぶ高いですがふるさと納税のサイトから買えるのでお金持ちの人は食べ比べてみてください!

黄金ガニ(大サイズ) × 1杯 「ズワイガニと紅ズワイガニのあいのこ」幻のカニを浜茹ででお届け!【黄金がに カニ 姿 ボイル 冷蔵 福井県】

84,000円

今までで最も苦労したことはなんですか?

 漁を継ぐ時に、借金が1億ぐらいあったんです。

かーりぃ

え、やば。それ知ってたんですか?

 知らなかったですよ、鉄工所とか造船所とかから「もう仕事引き受けない」って言われてて。

かーりぃ

ヤバすぎません!?それ。

 その時、船も古いし、壊れることも多かったので、本当にヤバいと思って。先に鉄工所とかに「来年、俺が継ぐからどうしても仕事引き受けてくれませんか」とお願いしにいったんです。それが31くらいの時ですね。

 その後、無理やりですよ。船頭に「もう無理だから船を降りてくれ」と頼み込みました。見習いを初めてから7年目でした。簡単には降りてくれませんでしたよ。でも「本当にもう無理だから!!」ってゴリ押しです。

かーりぃ

すげぇぇぇ、

 あと、4年前に沖でピストンが砕けた時も大変でしたね。その時本当に心折れました。船はもう沖で一切エンジン動かなくて、機関士が無理やりエンジン動かそうとするもんだから馬鹿でかい爆発音がなりましたよ

「ドッカーン!!!!!」

って(笑)本当にやばかったですね。風が吹くの分かってて、早めに切り上げて沖から帰ってる途中だったのでめちゃくちゃ焦りましたよ。とりあえず衛星電話で保安庁呼んで引っ張ってもらって、なんとか三国港に入港できましたけど。

 この時すごいなと思ったのが鉄工所ですね。他の鉄工所だったら直せなかったかもしれないです。壊れた部分がピストンだけじゃなくて、無理やりエンジン回しちゃったから他の場所も全部いたんじゃって、それをたった4日で直してくれました。

 普通に年内の修復は諦めてました。12月の漁期真っ只中だったのに。でも鉄工所の人たちが、大喜丸のために朝から晩までずっと、どうやって直そうかと考えてくれてなんとか走れる状態にしてくれました。

 それも昔「もう仕事引き受けない」って言われたところですよ。本当に感謝でいっぱいでした。

 でもそれも応急処置なので、またいつ砕けるかわからない状態で2年間操業しました。その間に鉄工所の方々が新しい船を探してくれていて。それでやっと船を変えることができました。

かーりぃ

そこまで信頼関係を取り戻していたこともすごいし、鉄工所の人たちの人情も素晴らしいですね!

-モチベーションが下がる時ってありますか?

 純粋にかにの単価が下がった時ですね。最近はないですけどね。

かーりぃ

単価下がって沖サボったことってあります??

 もう単価下がったら沖行かないです。人に食べてもらうために漁にでてるので。単価下がるってことは食べたい人がいないってことでしょ?獲らなかったらかにも増えますし、命を安売りはしたくないですね。資源のためにも。

漁師としての山下さんのビジョンはなんですか??

 100年経っても200年経っても何年経っても、ベニズワイガニも世界に提供し続けることができる漁にすること。これは個人ではなくて日本のベニズワイガニ漁をです。

 資源管理に興味を持ち始めたのは、自分が継ぐ前に明らかに資源が減っているのをみて、この先これを続けていたらダメだろうと思って調べ始めたのがきっかけです。

 100年経っても200年経ってもと考え始めたのは息子が生まれてからです。そうすると孫からもっと未来の世代までこの漁が続けられるものにならないとと考えるようになりました。

 あ!注意なんですけど、個人差はありますが3歳くらいまではえびかには食べさせちゃダメですよ!もしアレルギー持ってたら危ないので、お子さんがいる方はきをつけてくださいね!

かーりぃ

そっか!そうですよね!アレルギーのパッチテストも大事ですね!

-そのビジョンを達成するためにこれから挑戦したいことはなんですか?

 今、他県とかにかご協定って言うチームを組んでいます。そこのチームでしっかりした資源管理を行って、それ以外の県の漁業者にも、僕たちの資源管理を見てもらってその重要性を理解してもらって、将来的には一緒に資源管理していきたいです。

 そのためにも国の会議とかにも積極的に参加して、他魚種の資源管理とかの会議にも顔を出させてもらって、わからないことは専門家に積極的に聞いて勉強させてもらっています。

 あと、調査ですね。まだまだわからないことが多いのでもっと調べていきたいのと、うち1隻ではベニズワイガニの生息域が広すぎて調査しきれない部分もあるので、他のベニズワイガニの漁師さんたちにも積極的に調査研究に協力してもらえると嬉しいなと思います。

 周りを巻き込んでいくためにもまずは自分が行動し続けていこうと思います。

まとめ

 今回は越前町でベニズワイガニ漁をしている山下さんにお話をお聞きしました!専門的なお話から売上などの漁師の収益のお話まで幅広くお話してくださいました!本当に感謝です。

 是非、越前町に遊びに行った際は、道の駅1階にある「お食事処かねいち」、旅館の「かねとも」でかに料理を堪能してください!

お食事処 かねいち 道の駅店 1F

 住所  福井県丹生郡越前町厨71-335-1

定休日   毎週火曜日定休

営業時間 9:00-17:00(LO:16:00)

料理旅館 かねとも -越前海岸の宿-

 住所  福井県丹生郡越前町厨49-1-10

総部屋数 和室9室

駐車場  無料・乗用車10台

かーりぃ

今年の旅行は越前で決まり!いってらっしゃい!🐟

シェアして浜の魅力を伝えよう
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次